【化学療法看護】がん薬物療法看護ベストプラクティス 書評・感想【おすすめ本】
「化学療法を行う部署に配属になったけど、勉強はどうしたらいいの?」と悩んでいませんか?
私も看護師になって初めて入職した部署が血液内科で、同じように思いました。
化学療法を行うために、抗がん剤のことを調べてもネットや薬の辞典だけではわからないこともたくさんあり、「どうやって勉強したらいいんだろう?」と考えていました。
そこで先輩看護師から教えてもらったのが、「がん化学療法ベストプラクティス」という本でした。
この本を購入し、読んだおかげで化学療法について、薬の知識だけでなく投与時の注意点や看護について理解を深める事ができました。
今回は化学療法に触れた経験が少ないあなたに新編である「がん薬物療法看護ベストプラクティス」を紹介していきたいと思います。
がん薬物療法看護ベストプラクティスとは?
タイトル | がん薬物療法看護ベストプラクティス |
著者 | 佐々木常雄、下山達(他) |
本の長さ | 424ページ |
発売日 | 2020/2/28 |
本書は「がん薬物療法看護ベストプラクティス」というタイトルの通り、がん薬物療法看護の基礎がたくさん詰まっている一冊です。
抗がん剤投与前・中・後の看護のポイントが詳しく載っているだけでなく、薬の種類による注意すべき副作用や、レジメンごとの注意点が詳しく記載されています。
監修は東京医師アカデミー顧問の佐々木常雄(ささき・つねお)先生。
これまでのがん治療の経験から、日本初のがん化学療法専門科を立ち上げた人物です。
がん化学療法に携わるのであればこの本1冊あれば、大切なことはほぼ全て網羅出来ているといっても良いです。
少し難しい内容もありますが、この本を調べている位熱心なあなたなら絶対に役立つはずです。
がん薬物療法看護ベストプラクティスがおすすめな人は?
さて「がん薬物療法看護ベストプラクティス」がおすすめな人は、どんな方でしょうか?
実際に私が読んでみておすすめしたいのは、以下のような方たちです。
- 初めて化学療法に携わる人
- 化学療法看護に自信が無い人
- 化学療法を行っているが、正しい知識を振り返りたい人
この本では、化学療法看護の基礎から学ぶことができます。例えば、化学療法を行う患者のアセスメントや、投与時の注意点、投与後の観察ポイントなどです。
さらに、抗がん剤治療を行う代表的な疾患についても記載されており、メジャーな疾患と治療に関して網羅的に書かれているのが特徴です。
そのため、「初めて化学療法を行う部署に就職する人」や「これまでの化学療法看護について振り返りたい」という方にとって、とても参考になる一冊となるでしょう。
「化学療法看護が不安だな…」と悩んでいる方も、この本を読むことでその不安を解消するきっかけをつかめるかもしれません。
日頃から化学療法をやっている僕でも読み返すほどいつまでも使える一冊ですよ!
がん薬物療法看護ベストプラクティス実際に読んでみた感想
ここからは実際に私が本書を読んでみての感想を紹介していきたいと思います。
また本書で学べるポイントについてもお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 化学療法看護の各シーンによるポイントが記載されている
- 抗がん剤の種類による特徴がまとめられている
- 代表的な疾患とレジメン(投与メニュー)が記載されている
- 外来化学療法、公的支援など様々な知識を身に着けられる
それぞれくわしく解説していきますね。
化学療法看護の各シーンによるポイントが記載されている
化学療法看護は化学療法中だけでなく、化学療法を行う前やその後の観察と看護は必要になってきますよね。
こちらの書籍では、その化学療法前~後にかけて詳しく看護のポイントが記載されています。
もう少し具体的に言うと
- 外来での診断確定~実際に治療が始まるまでの過程について
- 化学療法を行う患者の情報収集やアセスメントの仕方
- インフォームドコンセントのポイント
- 薬剤別の有害事象の頻度や観察ポイント
など、他の教科書では、バラバラに書いてあるような情報が一冊にまとまっています。
本書を最初から読み進めるだけで、化学療法の流れや治療前・中・後の観察が行えるような作りになっています。
そのため、初めて化学療法看護を行う方でも、「こうやって看護すればいいんだ」とイメージがわきやすいと思います。
化学療法についてわからない人は、この一冊でとりあえず大丈夫ですよ!
抗がん剤の種類による特徴がまとめられている
抗がん剤には非常にたくさんの種類があり、行われる治療により使用される薬剤が違います。
例えば
- アルキル化薬
- 白金製剤
- 代謝拮抗薬
- 抗がん性抗生物質
- トポイソメラーゼ阻害薬
- 微小血管阻害薬
- 分子標的薬 など
これらは、抗がん剤の分類を分けた種類になっており、その中でさらに細分化されていきます。
細分化されたひとつひとつの抗がん剤の副作用を調べても良いのですが、それだと頭がパンクしてしまいそうですよね。
そこで抗がん剤の分類による特徴を覚えておくと、ある程度応用が利きやすくなります。本書ではこれらの分類による特徴が記載しまとまっています。
また、細分化された抗がん剤の重要な副作用についても記載されているため、観察ポイントを把握する上でも参考になります。
抗がん剤ってたくさんあって覚えるの大変ですよね。まずは分類毎に特徴を覚えていきましょう!
代表的な疾患とレジメン(投与メニュー)が記載されている
本書では化学療法を行う代表的な疾患とそのレジメン(投与メニュー)についても記載されています。
例えば
- 脳腫瘍
- 頭頚部がん
- 胃がん
- 大腸がん
- 膵がん
- 肺がん
- 乳がん
- 子宮がん
- 卵巣がん
- 膀胱がん
- 前立腺がん
- 悪性リンパ腫
- 白血病
- 多発性骨髄腫 など
上記の疾患の簡単な病態と、適応の化学療法のレジメンが記載されています。
こちらも通常であれば疾患と治療法に関しては別々の教科書で調べる必要がありますが、どちらも一緒に記載されているため、本書一冊でカバーできてしまいます。
また、疾患別に代表的なレジメンが記載されているため、その治療の看護についても体系的にまとめられています。
一冊にまとめてある分一つ一つの情報量は、専門書には劣りますが、疾患・治療・看護の3つがひとつにまとまっているため、非常に使いやすく実践向きと言えるでしょう。
教科書の内容がそのまま看護に使えることがあるので、とても参考になります
外来化学療法や公的支援についても記載されている
病棟勤務だとあまり外来化学療法について詳しくない方も多いのではないかと思います。
私もそうで、外来化学療法についてあまり詳しくありませんでした。
しかし、患者が病棟で初回治療をして、その後は外来で化学療法を行う流れになることも少なくありません。
病棟で外来化学療法の流れを聞かれた際に、知識のひとつとして知っておくと説明をするときにも便利です。
また化学療法には大きな医療費がかかります。公的制度によって医療費負担を軽減することができますが、患者さんはその知識がなく不安を感じている場合があります。
本書では化学療法を行う患者さんが利用できる公的支援についても記載されているため、患者さんの不安を軽減する説明が出来るようになります。
今でも外来化学療法についてわからないことはあるけど、なんとなくイメージは出来るようになりました!
まとめ:「がん薬物療法看護ベストプラクティス」書評
今回は「がん薬物療法看護ベストプラクティス」を読んでみての感想をお伝えしました。
最後にもう一度この記事のポイントをまとめておきます。
本書は、化学療法にあまり触れてこなかった人に非常におすすめな一冊です。
この本を一冊購入して、読むことで化学量看護について病棟で看護に必要な知識を得ることができます。
まずは入門書としてこちらの本を読んで、日々の看護実践の中で活かしていってくださいね!
最後までお読みいただきありがとうございました。