文章を書く人必見!「読みたいことを書けばいい」を読んでみた。【書評・感想】
こんにちは、いちです。
今日はタイトルにもあるように、「読みたいことを書けばいい」を読んでみましたのでレビューをしていきたいと思います。
なんとも衝撃的なタイトルですよね?
僕も店頭で平積みされているこの本を見つけて
「なんて斬新なタイトルなんだ…」と衝撃を受けました。
そして、パラパラと立ち読みをし始め、出だしの1文を読んで
気づいたときには脇に抱えてレジに向かっていました。
ブロガーやライターには必見の内容になっていますので、是非ご覧ください。
この記事はこんな人におすすめ- この本が気になっている人
- 文章を書くのが苦手な人
- 難しい文章本に飽きた人
- 自分の文章に迷いがある人
それでは見ていきましょう(^^)/
※いちはこんな人※
「読みたいことを書けばいい」書籍紹介
出版社 :ダイヤモンド社
著者 :田中泰延
編集 :今野良助
ページ数:271p
価格 :1650円(税込み)
「あなたはゴリラですか?」
この衝撃的な一文から始まる本書。
思わず「え、なになに?」と興味と疑問が沸き上がってきます。
これは筆者が30年以上前に衝撃を受けた、「職業適性診断チャート」の初めの項目だったそうです。
筆者は「この文は誰かのために書いたのか?いや、自分が読みたかったから書いたのだろう」と語ります。
また、この文をみて「自分が読みたいことを書けば自分が楽しい」という原理に気が付きます。
本書は具体的な文章作成術というよりは、ライター(ブロガー)向けの文章に対する心構えや、文章を何のために書くのかがメインテーマになっています。
肩の力を抜いて、楽に読むことが出来、著者の「楽しい」が詰まった本書は笑いながら文章について学べる内容になっています。
全ライター(ブロガー)におすすめの本ですので、是非ご一読ください(^^)
田中 泰延(たなか やすのぶ)著者紹介
田中 泰延
1969年大阪生まれ。早稲田大学第二文学部卒。
本書ブックカバーより一部抜粋
学生時代に6000冊の本を乱雑。
1993年株式会社 電通入社
24年間コピーライターとして活動
CMプランナーとして活動
2016年に退職し、「青年失業家」を自称
フリーランスとしてインターネット上で執筆活動を開始。
早稲田大学卒業し、広告業界トップの電通に入社ととんでもないエリートですよね!
電通の就職倍率は50倍にも昇るそうで、絶賛就職氷河期中の筆者は4トントラックの運転手をしながら電通の就職試験を受験したそうです。
しかし、著者は通常ではありえないようなエントリーシートの書き方をして、見事就職に成功しています。
このエントリーシートの話は本文の間のコラムに記載されていますが、これがまた面白い!
しかも、このコラムには本文よりテクニカルなことが書かれているので、テクニックを知りたい方はコラムを熟読することをお勧めします。
次からは内容を紹介していきます(^^)
内容紹介
本書は、世間によくある「文章テクニック本」ではない。わたしはまがりなりにも、文章を書いて、お金をもらい、生活している。だが、そこに「テクニック」は必要ないのだ。
(中略)
自分がおもしろくない文章を、他人が読んでおもしろいわけがない。だから、自分が読みたいものを書く。
それが「読者としての文章術」だ。
本文一部引用 p5-7
本書の序盤から始まる著者が伝えたい一番のメッセージはこの部分です。
自分が楽しむために工夫したり、またその楽しさを人に伝えることは、読んでいる人間も楽しませることにつながると著者は考えています。
本書を読むと間違いなく、著者が楽しみながらこの本を執筆していることがわかります。
本書は序章~4章までの5つの構成で書かれています。5つの構成はこちら
序章 なんのために書いたか
第1章 なにを書くのか =WHAT
第2章 だれに書くのか =WHO
第3章 どう書くのか =HOW
第4章 なぜ書くのか =WHY
5W1Hの構成で書かれていますが、「いつ(WHEN)」「どこで(WHERE)」が抜けています。
この抜けている部分は最後に読者へのメッセージとして書かれています。
この書かれているメッセージが、今の自分に投げかけられているようでとても心に刺さりました。
気になる方は本書を購入して確認してみてください(^^)
次からは各章で1つずつ著書の言葉をPICK UPしていきたいと思います。
序章:なんのために書いたか
『文章力向上72のステップ』などという本を見ると、気が遠くなる。
本文一部引用 p16
だいたい、いつまでステップしているのか。いい加減にホップをするなり、ジャンプをしてはどうか。
「ライターになりたい」
「自分の思いを届けたい」
「バズる記事を書く方法を知りたい」
「上手な文章の作法を身につけたい」
「書くことで生計を立てたい」ほとんどの人はスタートのところで考え方がつまづいている。最初の放心が間違っている。
その前にまず方針という漢字が間違っている。(中略)
目的意識があることは結構だが、その考え方で書くと、結局、人に読んでもらえない文章ができあがってしまう。
本文一部引用p33-34
さっそくひとつじゃなくなり、すみません。
面白さを伝えたいんですもん(;・∀・)
著者の鋭いツッコミがさえわたります。また、この他にも世の文章術の本にストレートなツッコミをいれており、面白さもあり「確かに」と納得できる部分があります。
この序章では「なんのために書くのか」について深堀されており
目的意識だけで文章を書くとつまらない文章になってしまうこと。
書くこと本来の楽しさと、書く文章は全て自分が楽しむために書くことが強く訴えられています。
自分が楽しく読める文章を書くための努力は、必ず他の読者も楽しめるというメッセージですね。
次の章からは1つとは言いません。沢山著者の言葉をPICK UPします。
第1章:なにを書くのか
じつは、書きたい人がいて、読む人がいる文章のボリュームゾーンは「随筆」なのである。
わたしが随筆を定義すると、こうなる。
「事象と心象が交わるところに生まれる文章」
人間は、事象を見聞きして、それに対して思ったこと考えたことを書きたいし、また読みたいのである。
本文一部引用p53-55
この章では、私たちが普段から扱っている「文章」について掘り下げた章になっています。
何をかくのか、それは何の分野なのか、ことばの定義とは
文章を書く上ではっきりと区別しておくべきことについて触れています。
文章の種類をはっきり区別することで、自分が書くべきものが明確になります。
第2章:だれに書くのか
「たった一人のだれかに手紙を書くように書きなさい」というのもある。かなりもっともらしいが、それはLINEしてください。
そもそも特定のだれかに言いたいことが「届く」ということが、そんなにあるのだろうか。
(中略)
莫大な宣伝費を使うそれらも、結局、テレビや新聞など不特定多数が目にするところに「置かれる」のであり、「届けられる」のではない。
本文一部引用p98
筆者は文章術でよくある、「ペルソナを設定する」こと自体に否定的な考えを持っています。
よくよく考えれば、自分とは年齢も、性別も、生きてきた人生も違う人間の内面が、完全に理解できるはずがありませんよね。
そんなことが出来たらもっと世の中上手に生きてこれたよ…
筆者曰く文章は「届ける」ものではなく、「置かれる」ものである。
自分が書いた文章を一番初めに読むのは自分自身。だから自分が読んで面白くない文章を置いていても誰も読まないということですね。
今のところ自分の文章面白くないけど大丈夫かな?
読む人今のところ0人よ?
第3章:どう書くのか
つまらない人間とは何か。それは自分の内面を語る人である。
少しでも面白く感じる人というのは、その人の外部にあることを語っているのである。
物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛
原型がある。下書きがある。
模倣がある。引用がある。
比喩がある。無意識がある。それらは、作品を構成している文脈=ファクトだ。
(中略)
書くという行為において最も重要なのはファクトである。ライターの仕事はまず「調べる」ことから始める。
そして調べた9割を棄て、残った1割を書いた中の1割にやっと「筆者はこう思う」と書く。つまり、ライターの考えなど全体の1%以下でよいし、その1%以下を伝えるためにあとの99%以上が要る。
本文一部引用p147-148
ライターというのは事実を調べ、自分の中で編集し伝えたい情報を必要量伝えることであると述べている。
この文章を読んでから、筆者の記事やコラムについて読んでみると、事実を書き、筆者の考えや気持ちについてはあまり書かれていないことがわかりました。
事実に基づき、その事実を知って動いた自分の「心象の過程」を、丁寧に言葉として表現することが「随筆」で、それが人が読みたい文章なのだと思います。
ただこの事実の書き方が、色々な方向に飛んでいたり、比喩を上手に使っていたりと飽きずに読める工夫がされており、これが筆者の言う「読者の文章術」なのだと感じました。
第4章:なぜ書くのか
書くことは世界を狭くすることだ
あなたが触れた事象は、あなただけが知っている。あなたが抱いた心象は、あなただけが憶えている。
あなたは世界のどこかに、小さな穴を掘るように、小さな旗を立てるように、書けばいい。
すると、だれかがいつか、そこを通る。書くことは世界を狭くすることだ。しかし、その小さななにかが、あくまで結果として、あなたの世界を広くしてくれる。
本文一部引用p223ー225
この章では物書きとして心構えについて書かれています。
白紙の紙は、白紙のままでは無限の可能性があります。しかしそこに、丸を書けば「丸が書かれた紙」になる。
このように、文章を書くというのは、「無限の中の世界を狭くして表現すること」と筆者は述べています。
書くことはたった一人のベンチャー起業
DeNA、GMO、ザッパラス、KLab、パーソナルキャリア、北の達人コーポレーション…
これら東証一部上場企業を創りあげていった仲間たちに共通することは「金持ちになりたいのではない。自分の正しさを証明したいのだ」ということであった。
それが世の中に公開された時点で、あくまで結果として、社会の役に立つか、いままでになかったものかジャッジされる。自分の正しさが証明されるのかどうかだ。
文章を書いて人に見せるたびに、「それは誰かの役にたつか?いままでになかったものか?」と考え抜けば、価値のある意見には、必ず値段が付く。
本文一部引用p233ー236
文章を書き世の中に公表することのほとんどは、誰にも見向きされないでしょう。
しかし、自分が「この世の中に役立つ」と信じて、それが他者に認められることが、自分の正しさを世界に証明することになる。
それが書くことがベンチャー起業と同じだと筆者は言います。
「誰かの役に立つこと」を必死に考えて生み出した文章は、必ず必要な人がいて価値が生まれる。
この言葉にとても救われるのはきっと僕だけじゃないと思います。
いまだに自分が生み出す文章は誰かの役に立つのかわかりません。
しかし、「誰の役に立つか」を考えて、必死に文章を生み出し続けようと思いました。
誰かの役に立つって素敵!
まとめ:本当におすすめ!
こちらの本は今までの文章術とは一味違った本になっていると思います。
小難しい文章作成本だけでなく
「ライターとしての心構え」と「なんのために書くのか」
この2点をしっかり考えた上で、自分が楽しめる文章を書いていけたらと思います。
本自体も本当に面白く、スラスラ読めてしまうので何度も繰り返してみてしまう名著となっております。
是非購入して読んで頂き、感想を教えていただけたら幸いです。
それではまた。